みずたま。だ、だ、だ。
姫がその人を初めにお目にかけたのは、高校入学間近に控えた新入生テストの日でした。
新入生テストとは、入試とは別に、クラスを分けるためのテストなのです。
国語、英語、数学と全部で三教科あるのです。
その人は姫のいる5組へとやって来ました。
くせの強い黒髪。ちらりとのぞく鎖骨、線の細い体躯(からだ)知的な顔つきに
そしてメガネ(黒ぶち)!!!!!
もうまさに理想のタイプでした。
その人は英語のテスト監督でした。
「では席について・・・。そこ。しゃべらない」
声高っっっ!!!!!!!!
びっくりしました。
やっぱり世の中うまくいきませんね。
どちらかといえば姫は声の低い殿方が好きです。
いや・・・そこは得意技のポディシブでカバーなのです☆
とてもお上品な声でした……。
テスト終了後、
入試の合格発表からの姫の生活を綴った生活ノートを提出して、
説明会を受けるために姫は体育館に向かいました。
体育館から戻ると、生活ノートには青ペンの汚……流れるような字で
なにやらコメントがなされておりました。
しかし、姫はこの時これがあのお方のものだとは夢にも思っていなかったのです。
後で知ったときに非常に運命めいたものを感じました。
姫は夢うつつのまま、あのお名前も知らないお方に「王子」とあだ名をつけ、
これから始まるスクールライフ・・・否王子に想ひを寄せておりました。