花がつなぐもの
鈴木真由さん。

うちの主任だ。店長と同い年で、同期らしい。

しかも、年下キラーだと聞いた事がある。

それも、都内の支店に配属になった、仲の良い同期の瑞希から入った情報だった。

噂って怖いな。

他県の話まで噂で流れるんだから。

どこに行っても噂話に花が咲くものだった。

店長が、私に言った。

「昨日の夜、真由から
連絡あったんだよ。
急用が出来た
からって。」

「代わりは、工藤に
頼んだって。」

店長が説明した。

「そうなんですよ。
代わってくれって
連絡ありましたよ。」

「美咲にも連絡したけ
ど、連絡付かないから
お願いって言われちゃ~
断われないっス。」

「今度おごるって
言われて、すぐに
OKしました。」

和也が続けて言う。

その時、『???』

私の頭の中は昨日の夜の事が思い出されていた。

昨日の夜は、真由さんから着信なんて無かったよ?

誰とも電話してなかったし、メールも数える程度・・・。

『あ!!!』

私は、あの時の瑞希が話してくれた噂話の事を思い出していた。

『新人の男の子は
要注意』

私は気づいてしまた・・・。

『真由さん、
もしかして、
和也の事・・・?』

真由さんが、もしかしたら、和也の事を?

多分、そうだと思う。

だって私、連絡なんてもらってなかったし。

和也の話では、今度おごるっていうから、それってデートにでも誘う口実!?

そんなのは私の勝手な妄想かもしれない。

しかし、女の勘はあのどれないぞ、真由さん!

たとえ高校卒業したばかりの小娘だとしてもね!

私は勝手に、和也と真由さんを見守っていこうと決めた。

そんな時、

「さて、そろそろ
はじめようか。
新人君たち。」

店長の一声で、私と和也は仕事に就いた。



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