花がつなぐもの

・辞令

新人研修を終えると、店舗研修が私たちを待っていた。

行った事も無い、都内の数ある店舗を回る。

日付指定で行くのだった。

1日限定の体験入店といった感じだった。

慣れない店舗での1日体験は、とてもハードなものだった。

勝手もわからなく、覚えても1日限定の事がから、どうしていいか分からなかった。

私は花の基礎をきちんと覚えようと思い、色々メモを取っていた。

店舗研修が始まってからの私は、電車の路線図は欠かせないものになっていた。

しかし、乗り継ぎがわからず、どう、駅を入れば良いかわからず、

買わなくてもいい入場券を買ってまで、通ってみたりと突拍子もない事をやったりしていた。

これでも本人は一生懸命である。

無我夢中ってやつでしょうか。

この、店舗研修を終えると、配属先が決まる。

『私は千葉に住んで
いるから、やっぱり
千葉の店舗かな』

などと考えていた。

とにかく、下りの方面の店舗であれば、この先、路線図と離れる事が出来る。

が、店舗は都内中心にあるので、そうもいかなそうだった。

手には汗をかき、路線図を握りしめ、紙がふやけてしまっていた。

それって、田舎もん丸出しで恥ずかしい事なんだけど、

見栄張って、しくじったら困る方が大変だから、こっそり見ていた。

店舗での研修よりも、移動の方がしんどかったのは言うまでもない。

『間違ったら大変だ。』

そればかりが私の頭を駆け巡っていた。

ある店舗では、電車に乗り店に行き、道具を揃えてきてほしいと、とんでもない仕事を頼まれた。

それでも、やるしかないので、路線図片手に走ったものだった。

そうこうしているうちに、3週間が過ぎた。



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