花がつなぐもの
スタンド花も、かなり豪華なものだった。

「コンテストの
決勝大会ともなると、
すごいですね。」

私は、店長と、真由さんに言った。

「そうね、テレビ局
各局が撮影に来る
らしいらね。」

真由さんは、手を止める事なく言った。

「だから、うちも本腰
が入ってるんだよ。」

と、店長。

そうか、テレビで放送されるから、尚更気合いが入っているんだ。

本社の協力的なのも分かるわ。

これでテレビに出たりしたら、宣伝になるからだ。

「そうか、
そうだったんですね。」

「でも、店長、
こんなに大きな話が
よくうちに来ましたね。」

私としては素朴な疑問だった。

そんなに大きなコンテストの会場の装飾の仕事が、中堅のうちに回ってくるなんて思いもしないからだった。

「それはね、前にコンペがあったのよ。」

真由さんが言った。

「コンペって何ですか?」

私は続けて聞いた。

「このコンテストの主催
が、フラワー連合会
なの。」

「あの有名なですか?」

「そうなの。だから、
事前に花屋だけ審査
があったのよ。」

そんな事知りもしなかった私。

仕事って電話で注文取るだけではなく、自分の手で勝ち取るのもあるんだ。

そんな仕事もあるんだ。

そんな仕事もしてみたいものだと思った。

『店長ってすごいな・・・。』

店長の横顔が、大人の男らしく見えた。

いつになく・・・。



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