花がつなぐもの

長い1日(4)

深夜という事もあり、あっと言う間に着いた。

「さ、店長、
花を搬入しましょう。
朝日が昇る前に。」

私は店長にそう言うと、和也と真由さんとみんなで花を運んだ。

会場の中は深夜とも思えないほど賑やかだった。

「すごい、
広いですね。」

私は会場の広さに圧倒されていた。

この会場の広さなら、これだけの花の数が必要になるのが納得できた。

「この会場を飾るんだ・・・。」

私は、まだ装飾されていない会場が、この花たちが飾られる事で、

どんなに華やかな会場に変身できるのかを考えるとわくわくしてきた。

「店長、
本当に凄い
仕事なんですね。」

店長も、どこか楽しそうな表情だった。

これから、この花たちが本当に活かされるんだ。

その時、私は新人研修の時に店長が言った言葉を思い出していた。

『花を活かすのは、
その人次第です。
花の良さを、受け取る
人に届けてあげて
下さい。』

私は、この花たちを人に届けたい。

人の心に届けたかった。



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