甘いクスリ
『こんばんは。』
木製の重い扉を開けると
間接照明が雰囲気を醸し出す
空間が広がる。
『ああ、いらっしゃい。』
マスターが
適当にかける様に促し
私は、手近な椅子にかけた。
『マスター、あの・・・
他に
誰か来てませんか・・・?』
『お客様では、一番ノリだよ。
ああ、マリは、奥にいるけど。』
『あの・・・』
マリさんて、一体・・・
ここで働いてる人なんですか?
とか、
なんか聞きたい事が
いっぱいなんだけど
なんて聞けばいいのか
何から聞けばいいのか
わかんなくて・・・・
口をつぐんだ時、
オーダーした烏龍茶が
さしだされた。
『マリが、ゴメンネ』
そういって。
何でマスターが謝るのか
わかんないよ。
『マリは、最近入った
バーテンでもあるし、
俺の・・・
片想い・・・の、
相手でもある。』
最後は、唇に人差し指を宛て
小声で言った。