甘いクスリ
 


『ちょっと、コトコちゃん、
貴方、ここに来て
烏龍茶飲むって
どういう事よーっ。

どーりで、待っても待っても
オーダが来ないハズだわよっ。』

サロンエプロンを腰に巻き
きれいな色のラベルの
アルコールボトルを持った
マリさんが、半ば呆れていて。


『それは、同感だな。』

マスターが
おかしそうに
笑った。

『今日は、マリのおごりだから
何でもいって?
帰りも送るからさ。』


カクテルは、実は
ちっともわからなくて
結局、マリさんのチョイスを
楽しんだ。



『晴紀は、優しい?』 


三杯目のグラスを差出し
唐突に切り出したマリさんに
驚く。


ツイに来た・・・


・・・優しいけど


生徒だよ?

金ヅルなんだから
普通は、やさしくするよねぇ。



でも・・・


『優しいですよ。とても。』


ちょっと、虚勢をはった。


うまく、笑えてるだろうか。


マリさんが、ふっと
こちらを見た。


 


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