甘いクスリ

ラッキーチャンス

 

先生の様子が
おかしい。
 
「先生?・・・何か変。」

今日に始まった事ではなく、
最近、ずっとそう。


「いや、大丈夫だって」

そう、いってるその目元が
苦笑で目尻がひきつっている。

全然大丈夫に見えない・・・


「体調悪いの?」

そういいながら、
七海ちゃんから預かった
紙袋の事を思い出した。

チャリチャリ言ってたから
頼まれモノとお釣り、と、
いったところだろうか?


「先生、七海ちゃんから
預かってたの。
ごめんなさい、すっかり
忘れてしまっていて・・・」

紙袋を鞄から取りだし
先生に手渡す。

「え?何か頼んだっけ?」

そういいながらも、小銭の音で
心あたりがあったのか、
『あの時のかな?』なんて
いいながら、おもむろに
袋のテープを剥がし、
中を覗いている。


「なんだこれ?

・・・!!」


紙袋の中から、
掌サイズの小箱を取りだし
先生は、目を見開く。


そして、私の方をパッとみて
慌ててソレを戻して
クシャッと紙袋を掴んだ。


「・・・」
「・・・」

 

 
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