甘いクスリ
「・・・いまの、見た?」
先生の微妙な表情
・・・よくわかんなかったけど
もしかして・・・?
コメントできずに固まる。
「・・・俺が頼んだ訳じゃ
ないからっ。信じてっ
っつうか、まさか、女の子に
買ってこいなんて、
頼まないしっ」
先生が、すがるような
目をしていう。
見間違いじゃなきゃ、
そりゃ最もな
言い分なんだけど。
さっきのって・・・その
・・・いわゆる
・・・避妊具よねぇ・・・?
「最近の女の子って、
ああいうの買うの平気なの?」
先生は、紙袋から取り出した
お釣りを財布に納めながら、
目を合わさずに問う。
「そんなのわかんないよっ
私は無いけど・・・」
相手によっちゃ、
そうしなきゃなんない人だって
いるでしょ?
「都築さん・・・使う?」
「使いませんっ」
使う相手なんていないもん。
持ってるったって困るよっ
「ああ、使わない派?」
そうじゃないでしょ・・・
「違いますっ
そんな相手、いないだけっ。」
そんなところでボケないでよ
いい大人が二人で
避妊具一つで赤面してる
この状況が、何だかおかしい。