甘いクスリ
初ライヴ
夏の空
白い雲
呼吸しているだけでも
とけだしそうな気候の中
ギターを担いでイベント会場に
足を運ぶ。
なんだか、今日
人前で演奏するだなんて
実感がわかない。
「暑い…」
七海ちゃんが能面ばりの
無表情で、つぶやく。
「ホントだね。」
ギターケースをガッツリ担いだ
背中が何とも言えない。
先生・・・から
借りてる楽器だから
雑にあつかう訳にもいかず。
ギターケースまで
高そうなんだけど
「でも、ほら、衣装だけでも
ボーカルさん達が運んで
くれるから
少しは、マシだよ?」
七海ちゃんの下がりきった
テンションを回復させようと
頭の切り替えを必死に促す。
「えーっ…。そんなんじゃ
萌えないしぃ…」
いや、萌えなくていいでしょ
「じゃあ、集合時間まで
もうすこしあるから、
アイスクリーム、食べに行く?」
こんな、単純な手は、どうかと
思うのだけど・・・
「うんっいく」
想像以上の好反応。
・・・七海ちゃんが
単純でよかった・・・