甘いクスリ
ナイショの契約
今日の授業内容などの報告書を
作成して、帰宅の途につく。
常時、開店休業なあのクラスが
本日にかぎり、開講に
なるわけもなく。
半時間も経たぬうち、
職場を後にしている。
「先生っ!いたっ」
表にでた途端、
女の子の声がして、
腕を引かれよろける。
「七海?!」
都筑と、いったんじゃ
ねーのか?!
「先生、待ってたんだ
どうせ、あのクラス、
いつもお休みでしょ?」
「待ってた・・・って」
「いいから、いいから。
行くよっ?」
彼女は構わず腕を引っ張る。
「待てっ!!七海!!」
流石に、生徒んちは
まずいんだって
俺は、鷹尾と違って
半ばサラリーマン
なんだからな。
「あによ?」
「おまえ、俺の予定とか
都合は聞かないわけ?
社会人に、なるんだろ?」
なるだけ、優しい口調で
問い掛ける。
まあ、七海も啓太も、
鷹尾の毒舌を転がして
きたんだから、
多少強めにゆっても
平気なんだろうが。
「聞かない。
堂野先生には聞かない。
だって、ちゃんと
気付いてないんだもん。」
・・・?
何を?
「それに、予定なんて
ないもん。」
何ですか?!その
どこから、沸いたのか
わかんない自信は
ものすごい
満面の笑みなんだけど。
「先生はねぇ、
来るモノ拒まずだけど、
自分からは
いかないんだもん。」
なるほど・・・
あっち系の話か。
だから、予定がないと
よんだ訳か。