甘いクスリ
 

「まったく、どんくさいわね。」


たっ・・・助かった・・・

琴子は、苦笑した真月に
見事に抱き留められ
鷹尾君バリの赤面状態と
なっている。

「ほら、あなたは、ここ。」

真月が、うまく
俺と自分の間に琴子を
誘導してくれて
俺は、初めて琴子の手を
公の前でつなぐ。


よく考えれば、こんな所で
抱きしめなんぞした日には
エライコトに、なっていた。


・・・真月には、
救われっぱなしだ。


気を取り直して、皆で
カーテンコールの大サービス。

「鷹尾夫妻!もっと近づいて」

イタズラ好きの生徒達が、
披露宴さながらの茶々を
お見舞いすれば・・・

「はーいどうぞ♪
お好きなだけお撮りやす〜」

ご機嫌な真月と。


「ちょっ…調子に
ノリやがって
このクソガキ共がっ」

真っ赤になって
顔半分を覆い隠し
照れ隠しを零す鷹尾。

・・・そろそろ慣れろよ

このあたりで、ちょっと
おちょくってやるかと
口を開きかけた。

 

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