甘いクスリ
「まっ待て
今日は、マジ、マズイって
頼むっ帰ってくれ」
堂野さんの声と、複数の足音
「んなもん、通る訳
ねぇっしょ〜?!
俺は、何度、アンタの餌食に
なったと思ってんすか。」
「いや、それと、これはっ」
そして、縺れ込む様に
足音と声が、開いた扉から
飛び込んできた。
「ども、お邪魔しま・・・」
見るからに愛想笑いを浮かべた
目の前の男の人が、瞳を見開き
言葉を失った。
『固まる』とは、
まさに、こういう状況なんだ。
「・・・・」
当然、私だって、声が出ない。
「・・・都築さん、こんな所で
・・・何してんの・・・?」
呆然とした表情の、
その人の横でーーーーー
堂野さんは、お手上げだと
言わんばかりに
目頭とコメカミを
指で押さえていた。
「だから、帰れっていったのに
人の言うこと気かねぇから。
鷹尾君はぁ・・・・」
そう。
乱入者は、鷹尾先生。
「えっ、何で?何で都築さんが
ここに居るの・・・?」
状況の飲み込めないその人は。
「だから、さっき言ったじゃん
カノジョが来てるから、
今日は帰れって」