甘いクスリ
 
「んー。つい、最近だな。」

飄々と答える堂野さん。


「え?じゃあ、もしかして
この間のイベントの
時には・・・」

「当日には、めでたく・・・」

言葉を濁した。


「って、鷹尾君、マジで、
気づかなかったんだ?!

真月なんて、最初から、
分かってたから、もう、
知ってるかと思ってた。」

堂野さんの苦笑気味の言葉にも

「どーせ、口止め
したんでしょ?
だったら、彼女は、
俺にも、言わないっすよ。
男前ですからね。
そーゆーところ。」


そういって、鷹尾先生は
何とも言えない表情で
笑みを浮かべた。


本当に、
奥さんの事、
大好きなんだね。


『愛おしむ』って、言葉が
ピッタリだよ。


そんな先生を見てると
本当に癒されちゃうよ。

あんなに切ない視線を
送り続けていたんだものね。


私も、今、ビックリしてるよ。


あんなに、嫉妬して見てた
先生と真月さんを
本当に穏やかな気持ちで
見ている。


 


< 198 / 212 >

この作品をシェア

pagetop