甘いクスリ
「だーっもー。
早く帰れって」
啓太と七海の尻を
結構、本気で蹴りながら
追い立ててる。
俺が、何か吹き込むと
警戒してるんだよな。
思わずニンマリ笑ってしまう。
それは、
期待に応えないと
失礼だよなあ。
「何?鷹尾君、
そんな急かして
新妻とデートでもすんの?」
「新妻って・・・」
そう言って、
真っ赤になって
口をパクパクさせてる。
・・・図星
鷹尾君・・・
タコより赤いから。
とりあえず、
二人が帰路につくのを確認して
奴は、ほっと一息ついてる。
学生をあずかるのは、
正直、荷が重い。
ここから出ていくところまでは
俺達の監督責任も、
多少なりある訳で。
学徒の担当が多い鷹尾は
いつも、相当、気を遣っている。
アイツらは
知らぬ風だけど。
生徒の入れ代わりも済んで
俺も最後のコマを消化しに
部屋にもどる事にした。