甘いクスリ
『んぢゃ、どーもお邪魔
しました〜』
ご機嫌な鷹尾君。
『鷹尾君、ところで、
キミは、何しにきたの?』
突然の招かざる客に
戸惑ったままの俺が尋ねれば
『あっ忘れてた
これ、知り合いがもってたから
買い取ってきたんです。
近々、ライブって言ってたから
気になって、もってきたんすよ。』
結局、鷹尾君は、
俺が探し求めていた廃盤品の
ギター弦を見つけて
届けてくれたらしい。
・・・大きく脱線して
半時間ほどの滞在を終え
玄関に向かった所で
思い出してくれた訳だが。
『ああっサンキュー。
金払うよっ。財布とってくる』
リビングに引き返そうとした
俺を、奴は止める。
『いいっすよそんな。
お祝いって事で。ね?』
何の祝いだよ。
『ソロソロ落ち着け祝い。
流石に、生徒とアソブつもりは
ないんでしょ?』
アタリマエだろう。
誰が、そんな危険を冒すか。
『焦んないで、
二人のペースでやれば
いいんですよ。
多分、ばれないと思うし。
気になるなら、マジで考えて
みたらどうっすか?』