甘いクスリ

 
久しぶりに、温かな手料理を 
満喫して、落ち着いた頃・・・


俺は、弦の張替えを
ウキウキ気分で行っていた。

と、肝心な鷹尾君の上納品を
準備するのを忘れ、琴子に
持ってきてくれる様に
お願いする。

・・・なんか、こうゆうのって
いいなぁ・・・

二人で居ることが、心地良い。


「ゆってる袋がどれか
よく、わかんないんだけど」

彼女が困った風に、黒の
ショップ袋を持ってきてくれる。

「ああ、それじゃなくて、
もう一個横にあった奴。
それも、中みなきゃ、なんだ。」

姉貴から渡された袋を
受取ながら、放置していた事を
思い出す。

チェックを怠って大事なモノが
入っていた日には、
何を言われるか、
わかったモノじゃない。
(↑ロクな目に合わない事は、
100%明確だ。)


「ゴメン、ゴメンあったよ。
見つけた」

琴子が、嬉しそうに弦を
持ってきてくれる。

「・・・どうしたの?」


ガサガサと袋から取り出した
土産を、硬直しながら
見つめる俺を訝しむ。

 

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