甘いクスリ
 
とある休日、
久々に実家に
強制的に召集され、
足を向ける。


ああ・・・・
戻りたくねぇ・・・

三人兄弟の末っ子で、
将来に期待なんざ、
されなかったお陰で、
こんな旧家の出身でも、
自由業に邁進できていた。

相変わらず、
無駄にデカイ家だ。

敷地の角にさしかかって
かれこれ、十分ほど、
あるいている。

両親の死後、姉が、
家と跡を継いでくれて、
家業も、同夫婦が見てくれる。

でも、さすがにソロソロ
逃げられない出来事も
あるわけで・・・


多分、追求されるのは、
その件だと、
アタリがつくだけに、
進める足が重かった。

玄関の扉を開けて、
思いっきり息を吸い込んだ。

「ただいまっ!!」

さすがに、デカイ家でも、
メイドや執事がいる
わけじゃない。

奥の居間にいる夫妻に
聞こえるようには、
叫ぶほかない。


・・・いい加減

インターホンに
変えようよ・・・


久々に叫んだ為、
軽い目眩がして、
土間に、座り込んでしまった。


 
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