甘いクスリ
 
 
「おりちゃん!!」

おじちゃん、だろ?
舌の回らない甥っ子が
ヨロヨロ走ってくる。

確か二歳ちょい越えだっけ?
の、姉貴の子供。


くぉ〜っ。かわいいっ・・・


口元が緩む。

広げた腕の中に、
全速力で転がり込むチビを
抱き上げて、居間へ顔をだす。

「姉貴、ただいま。」

「おー。おかえり。
堂野晴紀〜♪」 

「何故にフルネーム?」

ものすごく警戒しながら
突っ込んでみる。

「お前のノリノリ映像みて、
抱腹絶倒してたから」

「はあっ?!」

馬鹿でかいテレビの中で
うごめく、
ボリュームの絞られたそれは、
先日、都築が褒めてくれた
プレイだった。


「ちょっ?!
ってか、なんで、音消して
みてんの?!」

「だって、こうやって、
みた方が笑えるじゃん。」

俺の改心の演技で笑うな

「晴紀と反対の端の男、
ノリノリで、めっさ笑えるし。」

確かに、あの鷹尾は
笑える。

真月にみてもらおうって
必死だったんだろう(笑)

「真ん中の男は
トランスしてるし。」

・・・狩野さんまで笑うか。
この芸術オンチめ。

「おっかしぃよねぇ
いや〜下手なコントより
ウケる。」

おー。
そこが、俺と鷹尾の
激ノリ頂点だよ・・・


 

< 23 / 212 >

この作品をシェア

pagetop