甘いクスリ
 

「先生?」

「え?あっああ、
ゴメンっ。」

やべぇ。
仕事中だってのに。

「今日、先生、
様子おかしいですよね。」

都筑が、怪訝そうに
俺を見つめていた。

「ああ、大丈夫」

正直、今は、
仕事どころじゃない。

でも、今日は、イベントの話
しなきゃなんないんだよ。

「都筑、イベントあるの
しってんだろ?
七海も去年でた奴。」

「ああ。例のオーディション
ある奴ですよね。」

彼女は、興味なさげにいう。

「鷹尾先生から、
都筑は毎年でないって
聞いてるけど、
今年、出てみろよ。」

「えっ?!嫌だっ。」

即答か・・・

まあ、自主参加なんだけど。

しかも、そうとはいいながらも
ある程度の腕前じゃないと、
希望したって出れない。

文化サロンが、
中々薄情なイベントを
考え出すもんだ。

「でもさ、せっかく、
そんだけ弾けるんだし。
勿体ないじゃん。」

「嫌っ。」

頑なに都筑は拒む。

 



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