甘いクスリ
 

「逆に、何で、でないの?
普通、見てほしくない?」

食い下がる俺に、
都筑がポソッといった理由は

「だって・・・
恥ずかしいもん。
高尾先生に見られんの。」

その答えに、
なんか、
若干、ムッとした。


「大丈夫じゃない?
鷹尾君は、真月しか
みてないっしょ。
いつもの如く。」

厭味を見舞った俺に

「先生のバカッ!!
絶対、でないもんっ!!」

明らかにご機嫌を損ねた
都筑が、真っ赤な顔をして、
言い放った。


「いや、マジで、考えて。
俺のクラス、今回出れるだけの
腕前の生徒、少ないんだよ。
一応、各コースに割り振り
あるしさ。頼むよ。」


「でも・・・」

「俺のギターあげるから。」


「えっ・・・」

都筑が、驚きの表情を
見せた。

やっぱりな・・・


「ギブソンのでさ。
最近使ってない奴だけど、
手入れは今もしてるから
状態はいいし、良い音でるよ。」


都筑が、一切の
イベントに出ない理由。

七海に、都筑んちに
連行されたときに、
思い当たっていたんだ。

 

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