甘いクスリ
 
それに−−−

「俺は、そういう言い方は
嫌いだな。
ミュージシャンはハートだよ?」

茶化したけど
それは、都筑に対する忠告だ。

コイツは、自分を
過小評価しすぎなんだ。


チャイムを鳴らし、
玄関まで、あともう少し。


玄関の扉がチョロっと開いて、
ほころんだような
天使の笑顔がのぞいた。


「おりちゃーんっ!!」

「おーっ!」

やっぱ、かわいい・・・

かがんで両腕を広げれば、
もたつきながらも全力で
ちびっこいのが走ってくる。


「わあっ!かーわいい!!
先生そっくりーっ!!」


庭を走ってきた甥っ子に
都筑は目を細める。

いつもみたいに、
腕に抱き上げてやると、
いっちょ前に、隣の女の子に
興味があるらしく、
しげしげと都筑をみている。


「こっ・・こんにちは。」

あまりのガン見に
困った顔をして彼女はいった。

モソモソ俺の腕の中から、
都筑に手をのばす
ガキんちょを眺めていたが、
彼女は、そろっと、手を差出す。

「抱っこなの?」

そういって、
すっと、腕を伸ばし
子供を抱きとった。



血は、争えない。



「あら、ま。」
「おぃ・・・」


おまえ、そんな歳から
牡になんなよ・・・

スーパー二歳児は、
彼女の唇にチュッと、
自分の唇を押し付けて、
満足そうに腕を彼女の首に絡め
身体をあずける。

確かに家の兄弟はモテたよ?

でも、さすがに
先行きが不安になった・・・


 


 
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