甘いクスリ
 

 
「改めまして・・・
私、都筑琴子と申します。」


姉貴が通した和室で、
膝に甥を抱いたまま
姉夫婦に挨拶をする都筑。


双方、挨拶を交わした後
しばしの沈黙・・・




気まずーい・・・


 
でも、

その沈黙を破ってくれたのは
またもや、二歳児だった。


「何っ・・・?」

都筑の膝の上に座り、
おやつを食べていたが、
きっちり食べ零してくれた
らしい。

水分の染み込む感覚に、
彼女が驚きの声をあげた。


「あーっ!!
やっぱりやったかっ。
ごめんね、琴子ちゃん、
着替え貸すから、
こっちきて。」


大丈夫だと言い張る都筑を、
半強制的に連れ出した姉貴に、
呆れ半分で、様子を見に
ついていった。


・・・のは、

俺の手をひきつつも、
チビが、都筑のあとを
おっかけたからで。


「都筑?大丈夫か?」

襖越しに声をかければ


「おお。晴紀、覗きか?」

襖が、ちらりと開いて
姉貴が、片目だけ隙間から
のぞかせ、何ともいえない
視線を送り付けてくる。


覗くかっ


「晴紀。」
「あん?」

「彼女、なかなか
ナイスバディーだぞ?」

「はっ?!」

ヒソヒソ声で、まさしく
オッサンそのものな
発言を残して、
ピシャッと襖がしまった。

 

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