甘いクスリ
 

都筑、編入初日−−−


運よく?か、悪く?か
彼女一人だった。

つうか、このクラスは
しょっちゅう休講になる。

受付嬢に案内されて
入って来た彼女に
全く、見覚えはなかった。

イベントで
会った記憶もない。


『えっと・・・』

取り敢えず・・・
コミュニケーションでも
とるか

ガッチリ、ロックされた
防音室の中で、
妙な無音の空気の中、
口を開いた。

『ああ・・・っと、
堂野です。よろしく。』

『都筑です。
よろしくお願いします。』

『鷹尾先生のクラスだって
聞いたけど・・・
何年くらいギターやってんの?』

『約七年です。』


はっ・・・?


全然初心者じゃ
ねぇぢゃねーか。

手元の資料をみる。

テキストも、結構
進んでいる。


なんで、この時間?


『ほかの時間、都合
合わなかったの?』

聞いた俺に

『いいえ。』

小さく否定の言葉。


『この時間、鷹尾先生は
授業がなかったから
会わなくて済むと
思ったんです。』

・・・・?

かなり、意味不明・・・

えーっと・・・

『堂野先生が、
いけないんだから。

先生のせいなんだから・・・』


・・・はっ?


『先生が・・・
くっつけたから・・・』

彼女が黙りこむ。


俺、何かくっつけたか?

 



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