甘いクスリ
「すげ−・・・
案外、様になるもんだな。」

ブルー系の浴衣


・・・パジャマって
ゆってたよな・・・?
寝巻全般をさしてたのか?

シャワーの後、渡された
木綿生地の浴衣を着て、
鏡を覗きこむ。


別にモテる事を自負していても
ナルシストな訳ではない。

だけど、姉貴みたいに和装を
着慣れない俺としては、
珍しい己の姿をシゲシゲと
見入ってしまう。


それを妨げたのは
ギュルルルと爆音を立てた
胃袋だった。

「どーにかしなきゃな・・・」
この、突発的な性格・・・

思わず小さくつぶやいていた。

原因は本当は、もう、
わかってる。

自分の中にある歪みだ。



昔は、俺だって
結構真っすぐだったんだ。

今みたいに、
守んなきゃなんない
ポジションもなくって

過信に近い
自信もあって


自分の中にあるって
気付いてる何かに
目をつぶるとか


なかったのに・・・




 

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