甘いクスリ

「それより、今日
どうだった?」

初セッションの感想を
求めた俺を、
都築は質問攻め返しに
あわせてくれた。


「ねぇ。先生、真月さんに
なんて言われたの?

あのあと、様子
おかしかったよね?


そーだ。なんか、いつもより
態度も、よそよそしかったよ?
何で?

私、なんか
ダメだったのかな?」

「待て待てそんな
一度にいうな。
頭が混乱するから。」

苦笑混じりにいう。




一個ずつ返せば、

真月には、

『センセ、好きなら
素直になった方がいいよ?』

と言われ、

『様子がおかしい』のは
都築を特別扱いしている
この状況を、性懲りもなく
ごまかしたいからで。


『何か、だめだった?』に、
至っては、単に、俺が
今だに彼女の視線の先の
鷹尾に嫉妬したからデス


だから


「都築は、何も
悪くなかったよ。」


そう答えるしかなかった。


 


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