甘いクスリ
机の上に積まれた
ワンカートンずつの
ビールと酎ハイの缶
まだ、酒宴は
始めたばかりの様で、
一缶目を飲みかけたところ
らしい。
「・・・これ、ひとりで
空けるつもりだったのか?」
コイツ、そんな
飲めないだろ?
「今日なら飲めるかな〜って
思って・・・」
あはっ、あははは〜って
乾いた笑いを浮かべているが。
いや、明かに無理だろう?
あのボーカル軍団は、胃も腸も
予備の肝臓になってるから
煽り続くだけでだなあ。
(↑そんな、わけはない。)
一般人には無理だよ。
そんなことより、
コイツが
酒に逃げたい理由って
何だったんだろう?
「都築が泣いてるのと
関係あるのか?」
覗きこむように伺えば、
一気に顔の赤みが増す。
「あっ、あるような・・・
ないような・・・」
照れてやんの。
なかなか可愛いじゃん。
「オトコ、か?」
腕を解かぬまま問えば
困ったような表情をする。
「鷹尾に、まだ、
惚れてんの?」
止めればいいのに
畳み掛ける様に問い詰めた。