甘いクスリ
「何で、鷹尾先生が
でてくるの?」
都築が、くりっとした眼で
見上げてくる。
「いや、何か・・・
あったのかな〜って思って。
久々に夫婦とご対面だったろ?」
「ああ、あそこまで
ベタボレだと
笑っちゃいますよね。」
そういって、都築は
クスクス笑う。
全くだよな。
「先生、ところで
何しにきたの?」
「ああ、っと・・・」
ここまで勢いで来ておいて
いまさらながら、
怖じけづくとは。
言葉を探していると
彼女は腕をほどきながら
涙目のまま、笑いかけてきた。
「センセ、飲みなおす?」
って。
「うん。
ついでに泊めて。」
「ええっ?!」
・・・やっぱ、ダメだよな。
うん、普通はダメだわな。
「別にいいですけど・・・。」
・・・はっ?
マジですか・・・?
「私、明日、出勤ですから
朝早いですよ?
起こしちゃいますよ?」
「・・・我慢します。」
そんな無警戒に
男泊めてんぢゃねぇよっ
都築の中で、
俺は、一体どういう
位置付けなんだろう。
ただの酔っ払いとでも
処理されてるのだろうか?
七海の奔放さからすれば
反面教師でもないかぎり
彼女の育ての親は、適度に
放任主義であるはずだ。
すなわち、コイツの
貞操観念の甘さに
結び付いてる可能性はあり
戒める必要はある。