観覧車大作戦【短編】
「『理想の彼氏』面白かったね」
健二は言った。
昼間見たラブストーリーの映画のことだ。
「そうね……」
そこで話は終わってしまう。
観覧車に乗って、すでに5分ほどが過ぎた。
けれど、会話はなかなか弾まなかった。
やっぱりこの状況はきつい。
透たちとの距離が、あまりにも近すぎた。
何か話そうとするたびに、透のことを意識してしまう。
甘かったかな。
あいのりの相手が透でなかったとしても、状況は厳しかっただろう。
しかし、そんなマイナスのことばかり考えたって仕方ない。
告白だ、告白。
私は告白されるために、観覧車に乗ったのだ。