観覧車大作戦【短編】
仰天した。
背中に冷たい汗が伝い落ちていくのがわかる。
私はチラと透の顔をうかがった。
目が合った――のは、ほんのコンマ一秒くらいだろう。
すぐに二人とも目をそらした。
透も心臓が飛び出しているに違いない。
まさか、透のことを勘付かれてしまった……?
いや、そんなはずはない。
気づかれるわけがない。
透と遭遇して約十分が過ぎた。
その間、透と私を結びつける要素はなかったはずだ。
偶然だ、偶然。
告白前だから確かめておきたいだけなのだ。
別れて一ヶ月しか経っていないというのが不安なのだろう。
本当、生真面目な男だ。