観覧車大作戦【短編】
「そっか」
健二は笑顔で返した。
胸をなでおろした。
どうやら変な勘ぐりはしなかったようだ。
助かった――
と思ったのはほんの一瞬だった。
「そういえば透さ。
この間別れた彼女のことは完全にふっ切れたの?」
思い出したように、透の連れの女が言った。
なんてことを言うの、この女!
「どうなの? あれからどうなったの?」
とまどうだけの透に、女はさらに迫る。
「そ、そんなの今さらどうだっていいだろ? ほっとけよ」
「あら、どうしてそんなにムキになるのかしら?」
「だから、それは……」
健二も二人の会話が気になるようで、落ち着かない顔をしている。
まずいな。
このままだと、下手すれば私と透の関係がばれてしまうかもしれない。
お願い、透。
この場は持ちこたえて!
二人のためでしょ!