観覧車大作戦【短編】
いつの間にかゴンドラは頂上に到達していた。
そもそも、私は本当に健二のことを好きなのだろうか?
よくあるように、ただ前の恋を忘れようとしているだけなのかもしれない。
それでも……
それでもかまわない、と私は思った。
人間なんて弱い生き物だ。
透だってそうだ。
弱いから浮気をしたのだ。
そういえば……
私は透の連れの女に目をやった。
なるべく考えないようにしていた。
やっぱりこの女が、あのとき透の部屋にいた浮気相手なのだろうか?
今さらながら複雑な気持ちになる。
ふと、彼女の足元に目が留まった。
彼女は、白いヒールを女は履(は)いていた。