観覧車大作戦【短編】

「そうね。
透の誕生日のことから話そうかしら。
千佳さんが、透が浮気をしたと勘違いした日のことね。
しかも、その浮気相手が私だったとね」

早紀は、私と透を交互に見た。


「え? どういうことだよ?」

透は驚いている。

彼もそのことは伝えられていなかったようだ。


「あんたの誕生日に、私が部屋に押しかけたでしょう?」


「ああ、たしか姉ちゃんが酔いつぶれていた日だよな」


「そのときのことよ。
千佳さんが勘違いしたのは。
あのとき、私がシャワーを浴びているときに、ドアを叩く音が聞こえたの。
あんたは、シャワーとテレビの音がうるさくて、聞こえなかったみたいだけどね。
でも、私は気になって、そのあとドアを開けてみたの」


「千佳がいたのか?」


「ううん。誰もいなかったわ。
でもそこに誰かがいたということはわかったわ」


「どうして?」


フフと早紀は微笑んだ。


「イチゴよ」
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