観覧車大作戦【短編】

「あ……」

あのとき、私はバースデーケーキを落としたのだった。

そのひょうしにイチゴも落ちたのだ。


「でも、そのときは特に気にとめなかったの。
でも、二週間ほど前に、あんたは千佳さんのことで私に相談してきた。
それで、千佳さんが誤解してるってことに気づいたの」


「ちょっと待ってくれよ。
どうしてそのとき、俺に言ってくれなかったんだよ?」


「言ってどうなったっていうの?
千佳さんは、あんたの電話にすら出てくれない状態だったんでしょう?
『あのとき部屋にいたのは実は僕の姉でした』なんて言うわけ?
私なら、なんて下手な嘘をつくのかしらって、かえって逆上するわ」


もっともな意見だ。

姉を家に招いていたなんて、いかにもうさんくさい。
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