観覧車大作戦【短編】
「でも、どうして観覧車なんだよ?
俺と千佳を引き合わせるなら、べつに観覧車じゃなくてもよかったじゃないか」
透が早紀を問いつめる。
「千佳さんに逃げられないようにするためよ。
怒っている彼女は、あなたと会うなり、有無を言わず帰ってしまうかもしれない。
そうなると、ますます取り返しがつかなくなる。
それで私、考えたの。
その事態を回避するのに適した場所はないかってね。
そのとき上野君が言ってくれたの。
『観覧車はどうです?』ってね」
「ちょっと待ってくださいよ、早紀さん。
それじゃ、僕が面白がってこの計画にのったみたいじゃないですか」
心外だと健二は反論する。
「あら? そうじゃなかったの?」
「違いますよ。
僕は最初に反対したじゃないですか。
でも早紀さんが、『友達の千佳さんのためでしょ』とか言って、どうしてもって聞かないから……」