観覧車大作戦【短編】
早紀はふふと微笑んだ。
「そうだったわね。
ごめんなさい。
まあ、とにかく観覧車なら密室空間だし、千佳さんに逃げられる心配もない。
それで観覧車に決めたの。
ただ、もちろん不安もあったわ。
並んでいるときに、千佳さんに逃げられたら、それでおしまいだから。
でも、それは取り越し苦労だったみたい。
千佳さんは、私たちとあいのりになるとわかったにも関わらず、上野君に『乗ろうよ』と提案していた。
意外だったわ。
ひょっとして透と会えたことを歓迎していたのかしら?」
「そんなこと……」
私はドキリとした。