観覧車大作戦【短編】
「ひとつ聞いてもいいですか? 早紀さん」
観覧車乗り場を出たとき、私は疑問を口にした。
「何かしら?」
早紀は立ち止まった。
「もし、観覧車がすいていて、あいのりにならなかったらどうするつもりだったんです?」
「ああ、そのことね。
それならちゃんと手を打っていたわ。
土曜日はいつも混んでいるって聞いていたし、最後の便になるように、上野君と時間も打ち合わせてたしね」
「でも、それだけだと…」
「そうだよ」と、透が割って入ってきた。
「それだけじゃ、あいのりになるとは限らないじゃないか。
むしろ、ならないと考える方が自然だ」
早紀はその反論を無視して続けた。
「それとね、この計画にはもう一人協力者がいるの?」
ここが一番面白いところよ、と言わんばかりの表情を早紀は見せた。