観覧車大作戦【短編】

心のどこかで私は、健二のことを恥ずかしいと思ってた。

透みたいに、背が高く、かっこいいわけじゃない。

ファッションセンスも悪く、さえない男。

一緒に街を歩くなら、透のような男の方がいい。


それでも、純粋でまっすぐな健二を、私は好きになった。


その気持ちは、決して偽りなんかじゃない。


それなのに私は、自分から告白するのが嫌だった。


振られるのが怖かった?


いや、違う。


怖かったんじゃない。


恥ずかしかったのだ。
< 52 / 61 >

この作品をシェア

pagetop