観覧車大作戦【短編】
「ひょっとして、なんなんです?」
僕はムキになって言った。
「彼女をだます芝居をしながらも、実は本当に、彼女を好きだったとでも言うんですか?
ラブストーリーの映画を観に行ったのも、せめて最後くらい、デートらしいことをしたかったから。
そう言いたいんですか?」
それだけじゃなかった。
本当は期待していたんだ。
彼女も自分のことを好きかもしれない、と。
でも、わかってた。
仮にわずかでも僕に気があったとしても、それは傷を癒すための一時的なものなのだ。
元カレとの破局が、誤解によるものだとわかれば、そんなもの簡単に吹き飛んでしまう。
実際そうだった。
二人は今、帰り道を共にしている。
やはり、黄色いチューリップの花言葉が示すように、かなわぬ恋の人だったのだ。
それなのに、悪あがきをしようと、クリスマスプレゼントまで渡してしまった。
自分を慰めたかったのかなんなのか、意味のない想いまで忍ばせて――本当にダサい男だ。