観覧車大作戦【短編】
券売機の前に並んでいる人たちが、好奇の目で僕たちを見ている。
「す、すいません。大きな声を出して」
「ううん」
早紀さんは優しく首を振った。
「……だからなんですね、早紀さん。
ゴンドラの中での早紀さんは、打ち合わせと違ってた。
本来なら早紀さんがうまく話を運んで、二人の誤解を解く手はずだった。
でも、早紀さんは行動を起こさなかった。
たまたま、美穂ちゃんが観覧車を止めたおかげで、結局は二人の誤解を解くことができましたけど……。
僕を気遣って、何も行動を起こさなかったんでしょう?」
「……ごめんなさい。
あなたには酷(こく)だったわね。
あなたがそんなふうに思ってるなんて、私も観覧車に乗るまで気づかなかったの」
「いいですよ、もう……」