観覧車大作戦【短編】
「私、あっちの路線だから」
そう言って、早紀さんは自動改札を抜けていった。
僕もホームに向かおうと歩き出した。
「上野君」
顔を上げると、早紀さんが改札の向こうから、こちらを向いていた。
「応援するだけが、愛情じゃないのよ」
「え……?」
「あなたは、千佳さんが幸せなら、その相手が自分じゃなくてもいいって思っているかもしれない。
でも、本当に好きなら、他人任せになんかできないんじゃないかしら?」
「……」
「じゃあ、私行くね」
早紀さんはホームに消えていった。