『短編:ついでのメリークリスマス』
馬鹿みたいに騒いでるけど、誰の誕生日だか知ってるわけ?
一ヶ月以上も前から、その日を祝うために周到に準備される全国的催し。
クリスマス。
キリスト教徒でもないくせに、皆して浮かれちゃってさ。
馬鹿みたい。
ライトアップされた街を歩くと、それだけで吐き気がしてくる。
もう慣れたけどさ。
「なぁ、クリスマスどうする?」
「あ、うん。なんでもいいよ」
動揺するほどの可愛げはすでにない私。
付き合って初めてのクリスマスを迎える人和(トワ)に、あいまいに笑って見せた。
「何でもいいってことはないだろ?
お前ついこないだは付き合って3ヶ月記念だとかいって大騒ぎしたくせに、初クリはどうでもいいのかよ」
「あ~、うん。そうだね。じゃあ、どっか遊びに行こうか」
やっぱ知らないのか。そうだよね。言ってないもん。
12月25日が
私の誕生日だって。