『短編:ついでのメリークリスマス』
遅れてごめん、と言ってあやまる人和の姿は、まるでキュ~ンと甘えた声を出す子犬のようだ。
「もういいよ」
私の一言で、春が訪れたようにぱっと笑顔になる。
わがままな私に腹をたてもせず尻尾を振る彼に、罪悪感に似た感情がじんわりと染み出て。
・・なんだかな~。
「ねぇ、人和は、なんで私なの?」
「ん?」
「だってさ。別に私、そこまで可愛くないよね。たいしてもてないし。
けっこうわがまま言うし。自分で言うのもなんだけど、性格もいまいちだと思うし」
ひょっとしたら、何か私自身が気づいていない魅力でもあるのかも。
どんな答えが返ってくるのか、ちょっとどきどきする自分がいる。
けど、人和はまったく予想外の答えを返した。