『短編:ついでのメリークリスマス』

このままあてもなく街をぶらつくのかと思ったのに、

人和は私の手を取ってどんどん先へ進んでいく。

どうやら目的地があるみたいだ。


いつも、どうする?ばかりで自分からどこかへ連れていってくれたりしないのに珍しい。

これも、クリスマス仕様なわけ?


色を変えて輝く幻想的で華やかなイルミネーションをぬけると、

一軒の有名アクセサリーショップの前で、人和がぴたりと止まった。


まさか、と思う私にたいして、人和は躊躇することなく店の中へ一歩踏み出す。


「ちょ、ちょっと人和!ここブランドショップだよ。わかってる?」


ブランドの中では手軽に買えることで知られるショップだけど、

こんなおしゃれな店を人和が知ってることさえ驚きで。


大丈夫だから、の声も信じられず、まるで不審者のごとく落ち着かない私が後に続く。


と、黒いワンピースに身を包んだ綺麗な店員さんが現れ、こんにちは、と声をかけてきた。



・・やだ、どうする気?



「すみません、こないだの指輪、ありますか?」



・・え?こないだの指輪?



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