『短編:ついでのメリークリスマス』
その店員さんは、ありますよ、と言ってショーケースから指輪を一つ持ってきた。
「どうぞ」
私の目の前に置かれたそれは、かわいいシルバーリング。
真ん中にキュービックジルコニアがきらりと存在を主張している。
「かわいいピンキーリングでしょう?つけてみますか?」
どうやら店員さんは、営業スマイルを私に向けていて。
・・え?私?
「ほら、つけてみろよ」
人和に言われるがままに私の右手の小指には、その指輪がはめられて。
・・かわいい。
柔らかなラインに淡いピンク色が彩を添えて、とても愛らしいリングだ。
「これ、聖香にどうかな、って思ってたんだけど、どう?」
心配そうに、人和が私の顔を覗きこんできた。