『短編:ついでのメリークリスマス』
「え、うん。とっても素敵」
思わず素直に感想がこぼれる。
「ほんと?じゃあ、これでいいかな」
これでいいかな、って。
本気で買うの?
「ちょっと!高いんじゃないの?」
小声で囁いたつもりなのに、私の言葉に店員さんはフフフ、と意味深に笑う。
「大丈夫ですよ。彼氏さん、もうずっと前からうちに相談にみえてたんですよ。
自分でも買える値段のもので、でも可愛い彼女に似合う指輪はないかって」
「え?!」
「まだ付き合って半年経たないっておっしゃるんで、それならピンキーリングはどうかってお勧めしたんです。
ピンキーリングは幸せを呼ぶって言いますからね」
ちょっと、というかかなり驚いた。だって、人和がだよ?
ファッションセンスにもいまいち欠けているあの人和が、
わざわざ私のためにリングを探してくれたなんて。
思わず顔がにやけてしまった。
クリスマスも、悪くないかも?なんて、現金な私。