『短編:ついでのメリークリスマス』
そのままはめて帰れば?と言われたけれど、綺麗にラッピングしてもらった。
なんとなくそういう気分だった。
赤と緑の、いかにもクリスマスちっくな包装だったら嫌だな、と思ったけれど、
全然違う真っ白な袋に、真っ白のケースに納められたシルバーリングが入ってる。
・・めっちゃ、うれしいかも。
人和にしては出来すぎだよ。ほんと。
プレゼント一つで機嫌が直るんだから、私もそこの浅い女だ。
「あのさ、この後なんだけど」
駅に向かいながら、人和は寒さで少し赤くなった鼻の頭を人差し指でかいた。
「俺の家で夕飯食べない?
実はお袋に、連れてくるって言っちゃった」
「え!そうなの?」
「うん、だめかなぁ」
突然で心構えができていないけど、別に彼女って紹介されるだけだろうし。
右手に下げた小さな袋をチラッと見る。
「わかった。行く。
それとさ、クリスマスプレゼント、ありがとう。嬉しかった」
「え?クリスマスプレゼントじゃないよ。
誕生日プレゼントだよ。今日、聖香の誕生日だろう?」