『短編:ついでのメリークリスマス』
全ての炎が消えて闇に包まれたとき、盛大な拍手が巻き起こった。
たった3人の拍手が盛大か、って冷静に訊かれると困るけど、
とにかく私にとっては今まで聞いたどんなものよりもその拍手の音は大きくて。
「もういいかげん、泣くのやめろよ」
「うるさいわね、泣いてないってば!」
「ほんと聖香ってかわいいよなぁ~」
「ば、ばか!何言ってるのよ!」
親や妹のいる前でのろけるなんて、何を考えてるんだ。
だから、そういうところが恥ずかしくて、
恥ずかしくて、
恥ずかしく・・・ないのか。
他人がどう思うかばかりを気にしている私にとって、
素直な感情を前面に押し出すのは恥ずかしいことで。
けど、よく考えれば、それはちっとも恥ずかしいことなんかじゃないのかもしれない。
それでも、急に態度を変えることなんてできなくて、話題を変えようと思って口にした。
「それにしても、よく誕生日ケーキが売ってたね。クリスマスの時期ってなかなか買えないのに」