『短編:ついでのメリークリスマス』
「そっかぁ?」
「うん、そうだよ。予約も断られるんだよ。今まで自分の名前が入ったチョコプレートなんて見たことなかったもん」
人和がなぜか目をそらすので、不思議に思っていると和美ちゃんが私の疑問に答えた。
「あのね、聖香ちゃん。そのケーキもチョコプレートの名前も、お兄ちゃんが作ったんだよ」
「え?」
とたんに、人和が赤くなって和美ちゃんの口を押さえた。
「こら!和美!!お前あっち行ってろ」
はーい、と素直に返事をして、和美ちゃんは台所へと消えて行く。
ケーキを切り分けるナイフを取りに行ったお母さんのお手伝いをするつもりだろう。
「人和」
「ん?」
「今の話、本当なの?」
「ん?ん~・・・」
YESともNOとも答えない人和。
でも良く見ると、そのケーキは異様なほどたくさんのフルーツで飾り付けられていて、
生クリームのデコレーションが極端に少ない。