『短編:ついでのメリークリスマス』
ちょうど夏休みに入る頃、人和は真っ赤な顔をして付き合ってくれと告白してきた。
正直迷った。
低い身長。
寝癖のついた髪。
一重の細い目。
中の中。いや、中の下か。
とにかく見た目がさえない。
高校に入学して初めての教室で、隣に座っていたのでなければ、友達にさえなっていなかったはずだ。
それでも付き合うことにしたのは、夏休みに遊ぶ彼氏がいたほうが都合がいいかな、
って単純に思ったから。
好意を持たれるのって、悪い気はしないし。
それに。
・・なんとなく可愛く見えたんだよね。犬みたいに尻尾を振って寄ってきたから。
さほどもてる女でもない私を、どうして人和が気に入ったのかは知らないが、
断る理由も思いつかなかった。
でも。
・・やっぱり失敗だったかなぁ。
他人にぺこぺこしてる彼氏なんて、いまいちだよね。